一体となって地域のセキュリティ向上を図る | 宮崎県サイバーセキュリティ協議会 会長 興梠公司氏 | 前編

宮崎県内のサイバーセキュリティ向上を目指して活動する宮崎県サイバーセキュリティ協議会(以下、MiCS)。クラフもMiCSに加入しています。

今回は、MiCS会長の興梠公司氏(株式会社デンサン 代表取締役社長)と、クラフ代表取締役の藤崎が対談。

これまでの活動を振り返るほか、地域におけるサイバーセキュリティ向上へ、あるべき姿についても語りました。

MiCS(宮崎県サイバーセキュリティ協議会)について

興梠(以下、敬称略):MiCSは2018年の1月30日に設立されました。今年で8年目、クラフの設立とちょうど同じくらいの時期ですね。私が会長に就任してから、2年が経とうとしています。

設立の目的は、宮崎県民、宮崎県内企業等のサイバーセキュリティ向上のため、インターネット利用者に対する広報啓発活動を通じて、サイバー犯罪被害の未然防止や被害拡大を防ぎ、安心安全なサイバー空間の発展に寄与すること。民間主導で設立されたことも特徴です。

IT企業と宮崎県、宮崎県警察本部、大学など産官学が連携し、活動しています。会員企業も14社に増え(2025年5月現在)、勢いを増しています。これからの1年間で会員企業20社を目指し、活動の輪をさらに広げていきたいと考えています。

現在は宮崎市内にある企業が多くを占めていますが、県内全域へエリアを拡大していきたいですね。

これまでに、工業系の団体や商工会議所連合会、損保会社4社、宮崎県、宮崎県警察本部、宮崎県医師会・薬剤師会などと連携協定を結んでいます。MiCSの名前と社会貢献活動をさらに知っていただく、広げていく活動に注力しています。

例えば、昨今全国的に医療機関で電子カルテが普及していく中で様々なインシデントが発生している状況です。こうした現状や対策についても情報発信を行い、県内のセキュリティを向上させていくことに繋がればと考えています。

藤崎:クラフはサイバーセキュリティ事業を生業として展開してきましたが、地場企業との繋がり、自治体ほか公的機関との繋がりは限られていました。

サイバーセキュリティ事業者としての技術・ノウハウを活かして宮崎県警察との連携を図ったところから地域のセキュリティを向上させる取り組みを始めてきましたが、MiCSに加入したことで、宮崎にある企業として取り組めることが非常に増えたと感じています。誇らしくもありますし、これからさらに広げていきたいです。

一体となってセキュリティ向上に取り組んでいく

興梠:MiCSによって、地域のセキュリティ向上を1社で担うのではなく一体となって「面」で取り組んでいく動きが拡大しています。

結果として横の繋がりが増えてビジネスに繋がる例ももちろんありますが、他社と共同で同じ目的に向かって活動できていることもMiCSの存在意義ではないでしょうか。

藤崎:加入企業が増えてきたことで、例年行ってきたテクノフェアへの出展や各種イベントに加えて、昨年は初の試みとなるひなたCTFが開催されるなど、活動の幅も広がってきたように感じますね。

興梠:クラフのオフィスを会場に、宮崎県警察や加入企業から出題して行ったひなたCTFには多くの中高生が参加しましたが、まさに加入企業が増えてきたからこその取り組みでした。それぞれが持てる知識やノウハウを出題という形で学生に還元し、大いに盛り上がりましたね。学生の皆さんに宮崎の企業を知っていただく良い機会になったのではないでしょうか。技術者にとっての刺激にもなったはずです。

また、今年2月にはイオンモール宮崎でひなたサイバーセキュリティフェスティバル2025を開催。宮崎出身のお笑いコンビ蛙亭を1日サイバー戦略局長に委嘱し、クイズや特殊詐欺体験などを通じてセキュリティ啓発に繋がるプログラムを盛り込みました。

藤崎:大変盛り上がり、素晴らしい反響でしたね。

興梠:また、ひなたシンポジウムでは、MiCS加入企業が自らランサムウェアの被害について実例を交えて話してくれました。実例公開は簡単な決断ではなかったかと思いますが、宮崎で実際に被害が起きていることを知っていただき、自分事として捉えてほしいという想いがあったのではないでしょうか。

このような取り組みは今後も継続していきたいです。

藤崎:日々セキュリティに接している私たちにとって、セキュリティが身近にあることが当たり前になってしまっていますが、このような取り組みで県内に広く「自分事としてのセキュリティ」を考えていただくきっかけにしていきたいですね。

興梠:皆で情報を共有しあい、二度と同じことが起きないようにしていく。MiCSとしてはこれが本当にあるべき姿ではないでしょうか。

宮崎県・宮崎県警・民間企業が一体となって地域のセキュリティ向上に寄与していく。

安心安全なサイバー空間の実現に向けて、こうした活動こそがMiCSのあるべき姿と話す興梠氏。

クラフも宮崎発のサイバーセキュリティ企業として、MiCS会員企業として、事業活動で得た知識・ノウハウを地域に還元し、県内のセキュリティ向上に寄与して参ります。